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アンジェレッタはいつも自分の部屋からボルゴ横丁の様子を見ていた。そのため横丁の住人のことは何でも知っていた。例えば近所の夫婦が腕輪をめぐって喧嘩をしていると、その犯人は犬のクレオパトラだということを見破ったりしていた。 そんなときアンジェレッタはロミオに頼んだ。最近引っ越してきた人形使いテオ爺さんの孫、ナナの誕生日を祝って欲しいと。ロミオから花をもらったナナとテオ爺さんは大変喜んだ。アンジェレッタは幸せを配ってくれると。それを聞いたロミオはアンジェレッタの幸せ配りを手伝おうとした。 アンジェレッタが部屋でテオ爺さん、ナナと話していると、雨が降り出した。ナナはその雨を見て、パパとママがいる天国には雨が降らないと無邪気に言った。しかし、テオ爺さんはそんなナナを見て厳しい表情をした。テオ爺さんのつらい秘密に気づいたアンジェレッタは、テオ爺さんに寄りかかりなぐさめた。 アンジェレッタのやさしさに触れたテオ爺さんは、作り話ではないつらい過去を話し出した。それはテオ爺さんとナナ、そしてテオ爺さんの息子レオンの3人で旅をしている時であった。テオ爺さんは息子であるレオンに人形使いの後継ぎになって欲しかった。しかしレオンは医者になろうと勉強していた。そんなある日ナナが病気になった。ナナの病気は治ったが、レオンの医者への思いはより強くなった。見切りをつけたテオ爺さんはレオンを勘当した。しかし、テオ爺さんはレオンを勘当したことを後悔していた。行方不明になったレオンがミラノに来たという噂をきいて、ここに引っ越したが全然あては無かった。 翌朝、アンジェレッタはロミオにレオンを探すように頼んだ。ロミオは当然ながらそれを引き受けて、黒い兄弟たちにも協力を求めた。黒い兄弟はどこの家にも潜り込めるので、人探しがしやすいのである。黒い兄弟は力を合わせてレオンを探した。しかし、そうたやすく見つかるはずも無く、10日間が過ぎて行った。 仲間達があきらめかけたそのとき、ロミオはカセラ教授のことを思い出した。カセラ教授はやはりレオンのことを知っていた。レオンは教授のもとで勉強していたのである。教授はロミオをレオンのところに連れて行った。レオンは夢が叶って、貧しい子どもたちの病気を治す医者になっていた。レオンを見つけたロミオは喜びで感涙した。 ロミオはレオンをテオ爺さんとナナのところに連れてきた。レオンとテオ爺さんは再会を喜んだ。ナナも最初は気づかなかったがテオ爺さんに言われて喜んだ。ロミオはアンジェレッタの目の前で奇跡を起こしたのである。 |
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「誰かが幸せだとアンジェレッタも幸せになるんだよ。」 アンジェレッタからのプレゼントを受けたテオ爺さんが言った言葉。アンジェレッタは身内に幸せを配ってることは第13話で既出だが、ボルゴ横丁の近所まで幸せを配ってるとは。 |
「僕決めたんだ。アンジェレッタを手伝うって。アンジェレッタは皆を幸せにしたいんだ。でも外へ出ていけないだろ。だから僕が代わりに飛び回る。あの鳥みたいに。」 黒い兄弟がレオンの捜索をあきらめかけようとした時にロミオが言った言葉。アンジェレッタに対する誠実さがわかる。その言葉を聞いて、黒い兄弟のロミオへの眼差しはまた変わった。 |
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レオンをみつけたロミオが喜びで感涙して、馬車の上で飛び跳ねるシーン。ロミオは見事に感情を体で表している。レオンを見つけたこと自体より、アンジェレッタの幸せ配りに協力できたことへの喜びが大きいのだろう。 |
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今回も前後のつながりがない1話完結の話と思いきや、最後のところで次回への導入部がありましたね。話の途中にもそれを予感させるものがあったし。 ゲストキャラのテオ爺さんには森やすじさんという実在のモデルがいます。この森やすじさんは「ハイジ」や「ラスカル」のキャラクターデザインをした人で、東映動画時代は宮崎駿さんや高畑勲さんの指導をしてました。81年に書かれたロミオの企画書には森さんのキャラクターが書いており、それがロミオのキャラクターに引き継がれてます。残念ながら森やすじさんは92年9月に逝去されました。 レオンの選択は正しいと思いました。病気になったら人形劇どころではないので。再会した後は、レオンが子どもを治療して、テオ爺さんがその子どもたちを楽しませるといった形になったかと思います。 ところでレオンの腕はミラノ中には伝わらなかったのでしょうか。10日間で黒い兄弟11人動員、1日1人が10人に聞いたとして、全部で1100人に聞いたことになります。そんなに聞いたら1人ぐらい知っていていいかと思いますが。 とりあえず今回は、羽根が傷ついて飛べなくなった天使、その天使の羽根の代わりに飛び立つ少年、その少年を信頼して協力する仲間達という位置付けでよろしいでしょうか。けれど、黒い兄弟ミラノの探偵屋になりそうです。 |
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