第19話  おばあちゃんは魔法使い


 ある朝、ロミオがアンジェレッタに花をプレゼントしに彼女の部屋に向かうと、エッダがアンジェレッタの髪を結っていた。その光景を見たロミオは故郷の母親のことを思い出した。いつも怒られていたことを。

 仕事に行く途中、ロミオはロッシに母親のことを話した。ロッシもロミオぐらいの頃、同じような経験をしていた。しかもロッシの母親は魔女だという。そのとき、ロッシのもとに手紙が来た。その魔女である母親が9年ぶりに来るという手紙が。彼女が苦手なエッダはその訪問を断った。アンゼルモへの宝物があると手紙に書いてあることを知ると、エッダの態度は豹変した。その宝物はロッシ家に伝わる8000リラもする象牙のチェスセットだという。

 ロッシの母親、ミミがボルゴ横丁に着いた。彼女は馬車代も払わないような老婆だった。宝物に目がくらんだエッダとアンゼルモは喜んでミミの訪問を歓迎した。エッダのうわべだけのお世辞を見破ったミミがロッシを探していると、ロミオと目が合ってしまった。ロミオを見たミミは、彼をアンゼルモと間違い抱きしめた。誤解は解けたが、子どもの頃のロッシはアンゼルモよりロミオに似ていたのである。ミミに意地の悪そうな顔だとケチつけられたアンゼルモだが宝物のために我慢した。ミミはついに息子ロッシを見つけ、「家出小僧」とケチつけた。

 ロッシに会ったミミは次にアンジェレッタに会いに行った。アンジェレッタからロミオのことやピッコロのことを聞くミミ。ピッコロがひだまりのにおいや風のにおいを運んでくることを聞いたミミは、アンジェレッタに何かプレゼントしようとした。ミミはアンゼルモにおつかいに行かせた。アンゼルモは宝物のために我慢して引き受けた。ミミが魔法をかけるとアンジェレッタの眼下には花畑が広がった。アンゼルモが花屋の荷車ごと呼んだのである。おばあちゃんの魔法にアンジェレッタは涙した。

 ミミが帰る前にエッダは本題である象牙のチェスセットのことに触れた。しかし、ミミはそのチェスセットに売ったという。アンゼルモに渡したい宝物とは、チェスセットではなく、手編みの帽子だった。力が抜けたエッダとアンゼルモは帽子を受け取らずにその場を去った。

 ロッシは怒って、ミミにチェスセットを売った理由を聞いた。そしたらミミは答えた。30年前、ロッシが風邪で寝込んだとき、薬のためにチェスセットを売った。しかしチェスセットはニセモノで銀貨1枚にしかならなかった。けれど、ロッシは風邪を引いてもミミの手編みの帽子をかぶったままだった。大人になっても帽子をかぶるつもりでいた。ロッシは帽子を脱いで家を出たが、帽子はずっとミミの宝物だった。

 ロッシはミミを見送る時、彼女の手を握った。ミミからもらった帽子をかぶったロミオは、その後ろ姿を見て故郷の母親のことを思い出した。叱られて帰ったときになぐさめてくれた母親のことを。


 「さあ、さあ、魔法の時間だよ。」
 ミミが魔法をかけるときの呪文(?)ミミの魔法は部屋から出れない少女に一瞬でお花畑をプレゼントした。


 「母さん、どうしてる。僕は元気だよ。」
故郷の母親を思い出したロミオが心で思った言葉。手紙を出せばいいのだが、ソノーニョ村まで郵便は行かないのか。ところでマリアばあちゃんは思い出さなかったの。


 ミミが魔法を使ってアンジェレッタにたくさんの花を見せるところ。魔法少女ならぬ魔法老女ですが、やった魔法は花の子ルンルン並みです。若い頃はどのような魔法を使っていたか知りたかったです。


 今回は初めて、前後とのつながりがないオリジナルストーリーでした。それと関係あるのか、ロミオの最高視聴率を記録したと憶えています。(確か13.8%ぐらいだったはず)話も前回のような少年漫画とは違って、名劇に近いものになっています。

 けれども親父キャラの母親が上京してきてロッシ、ホームコメディーになってしまうのは珍しいかと思います。日本では3世代が当たり前ですが、欧米しかも19世紀となると平均寿命が比較的短いと思います。それにも関わらず、ロミオやアンジェレッタだけではなくジョバンニにまでおばあちゃんがいる状態です。(ジョバンニのおばあちゃんはアニメには出てこないが脚本の島田さんの設定には存在)

 親方の母親が魔女だと行った途端に手紙が来たり、チェスセットが出てきたりで最初は「ハーリーポッター」かと思いましたが、(チェスはロンの特技)結局は「ワンピース」になってましたね。帽子をかぶって船乗りになる夢を見る少年がいたり、魔女と呼ばれる老婆が花を咲かせたり、悪者がニセモノの宝物に目が眩んだり。ミミ婆ちゃんがあの声で「ハッピーかい?」というと永井一郎が返事しそうです。あの声はコロン@らんまなので。それでシャンプー声のエイミー@若草の末っ子が現れ、水をかけるとミルキー・アンになると。そういや、ミミ婆さんの声はコロンでしたが、若い頃は磯野フネさんでしたね。

 役名錯乱はさておき、エッダがアンジェレッタに言った「あたしの若い頃にそっくりだ」発言は、ラピュタでドーラがシーターに言った発言に匹敵します。何を食べたらああなるのでようか。能力の実ですか。(をい)