第31話  本当の宝物


 ロミオが煙突の上で、空を見上げてアルフレドのことを想ってると、下のほうで歓声が上がった。何かと思って下に降りたら、サーカスのパレードをやっていた。パレードには象のような今まで見たことのない動物も並んでいた。

 ロミオがダンテ、ミカエルとともにサーカスのテントに向かうと、火噴き男、ピエロ、空中ブランコのスターがデモンストレーションをしており、3人ともサーカスのとりこになった。ミカエルはテントに入ろうとしたが、2リラの入場料を持ってない3人は入ることができなかった。

 どうしても2リラを手に入れて、サーカスに行きたい3人。ミカエルは母親からもらったお守りを握って、2リラが落ちてないかと、目をつぶって歩き出した。するとビアンカとぶつかり、ビアンカは2リラを落とした。その2リラはカセラ教授からマキ運びを手伝ってくれたことでのお礼だった。

 この入場料である2リラをめぐって、聖ピオーネ公園に黒い兄弟が集まった。高さ2.5メートルくらいのところにある枯れ葉を取ったものに2リラを与えることにしたのである。背の高いアントニオとアウグストは下から攻めて、それ以外の少年たちは木を登ることにした。勇者の木登り優勝者のロミオはもちろんトップで登ったが、枯葉を取ろうとした途端枯れ葉ごと落ちてしまった。すると、その枯れ葉をめぐってケンカになってしまった。くだらないことでケンカする少年たちをビアンカは一喝した。

 リーダーとして頼りないロミオに少年たちはクレームをつけたが、ロミオは逆切れして自分で決めることにした。ロミオは、黒い兄弟の中で一人が行くのではなく、黒い兄弟みんなで行くことにしたのである。足りない20リラは何らかの方法で稼ぐことにした。

 ロミオは20リラを稼ぐ方法として、ある家の離れを掃除することにした。しかもサーカスがミラノを離れる土曜日までにである。そのうえ、仲間たちは自分の仕事が精一杯で手伝うことができない。しかし、煙突掃除夫ではないビアンカは手伝うことにした。

 日にちが経つにつれて、ロミオの努力の話は黒い兄弟の少年たちの間に伝わり、最初は手伝わなかった少年たちも手伝うようになった。

 サーカスに行く直前の金曜日、ミカエルが市場でうろついてると誰かとぶつかり、その勢いで売り物の壷を割ってしまった。店主は弁償代としてミカエルからお守りをとりあげてしまった。

 土曜日の朝、ロミオは約束通り離れの持ち主から20リラをもらった。その帰り道、ロミオは落ち込んでるミカエルを見かけた。ロミオが声をかけるとミカエルは立ち去った。ロミオは市場に行ってその理由がわかった。ミカエルのお守りがお店で売られているのである。

 アジトでサーカスへの思いを寄せる少年たち。そこにロミオが現われてサーカスに行けないことを告げた。

 ミカエルは屋根の上で泣きべそをかいていた。すると、いつかまた行けるよと、ロミオと仲間たちが現われた。ロミオの手にはミカエルのお守りがあった。リーダーに同調した黒い兄弟もミカエルのお守りを入場料で買ったのである。ミカエルは感激して泣きべそをかいた。その日は屋根の上でみんなの故郷の話をすることにした。


 「行くのはみんなだ。誰か一人だけなんて黒い兄弟らしくないよ。僕はここにいるみんなと一緒にサーカスに行きたいんだ。」

 入場料が1人分しかなくて、その座をめぐって争った末に、リーダーロミオが発した言葉。最初からそうすればよかったんですけどね。まー喜びは分かち合わないと。


 ビアンカがロミオより先に離れに行こうとしたら、ロミオが窓を拭いていて、それをビアンカが見つめてるところ。友達の夢をかなえようと頑張るロミオに、兄の姿を垣間見たのだろうか。


 前回までうって変わってちょっとした休みです。

 うる覚えモードですが、日本シリーズで西武の優勝が確定したため、急いで追加された回ではないかと思います。けれども、ロミオ流リーダーが面白く描かれてます。黒い兄弟が喧嘩してる時にはロミオも喧嘩するし、ロミオがミカエルのお守りを買おうとすれば、黒い兄弟も買うし。

 ビアンカはやっぱりいいですね(笑)。移動の基本は歩きではなく走りだったり、黒い兄弟を一喝したり。名セリフに「もー、男の子って幼稚なんだから」を挙げたかったです(爆)。その辺がルフィ海賊団でのナミのポジションなんでしょうか。けれど、ナミは手を上げるか。
 ビアンカは、お嬢様育ちなのにロミオより早起きして掃除を手伝おうとするのもいいですね。お嬢様キャラの常識を見事に覆した感じで。

 ミカエルはもはやトラブルメーカーっぷりが売りになってますね。お守りはちゃんと効いてるのでしょうか。もしお守りを持ってなかったら、ミカエルは死んでるんではないかと思うのですけど。しかも湖で。お守りに見捨てられたのか、リオにノコノコついて行って人質になったり、マウリッツオにアルフレドが晩餐会に来ることを教える始末。ミカエルにはトラブルメーカーの汚名を打ち消すような活躍をして欲しいところなんですけどね。ある意味優しい子なんだし。

 ところでサーカスというと、空中ブランコのスターが首に掛けてるアクセサリを狙う悪い3人組が現われて、それを目撃したロミオが...。いや、いいです。(このネタわかりますね。)