第10話  青空のスケッチブック



 ロミオは天使の部屋に入った。そこには月光に照らされた少女がいた。少女の名前はアンジェレッタといった。アンジェレッタは病気で外に出ることができなかった。そのため、いつも部屋の中からロミオの笑顔をスケッチしていた。ロミオの笑顔は彼女の心の支えだった。

 ロミオはアンジェレッタに村のことを話した。毎朝鐘を鳴らすこと、朝日を浴びて気持ちいいこと、村の情景はアンジェレッタにも浮かんだ。アンジェレッタは毎日本を読んでいたため想像力が豊かになっていた。アンジェレッタは本を読むだけではない。窓から見える町の様子から流れる季節を感じ取るのである。

 しかし、そんなアンジェレッタでも想像できないものがあった。それは大きな空である。窓からでは小さな空しか見えなかったのである。ロミオはいつも大きな空を見ている。ロミオはその空をアンジェレッタに見せようと決意したのである。ロミオは空を描くため、アンジェレッタからスケッチブックをもらった。

 アンジェレッタと出会えたロミオはいつも以上に上機嫌だった。ロミオはバケツにスケッチブックを入れ、仕事に出掛けた。そして屋根の上で青い空と白い雲を描いた。ロミオの行動を不審がったアンゼルモはその秘密を暴こうとした。しかも、町の不良少年狼団と手を組んで。狼団には酒場にいたニキータの姿もあった。

 ロミオは絵をほとんど仕上げていた。そのとき、狼団のリオが子供からリンゴを盗もうとした。それを見たロミオは当然そこに駆けつけた。そのすきにファウスティーノがスケッチブックを盗み、それをニキータに渡した。ロミオはニキータを追った。ニキータはスケッチブックをさらにアンゼルモに渡した。

 アンゼルモは横丁をはさんだ向かいのベランダにいたので、そこに向かうのは無理かと思った。しかし、ロミオは横丁を飛び越えた。アンゼルモを追うロミオ。ロミオはついにアンゼルモを捕らえた。しかし、もみあいの末、スケッチブックの絵は風に吹かれ飛んでいった。アンジェレッタが描いたロミオの絵も飛んでいった。

 やり切れない気持ちのロミオ。その時、ロミオの前を鳥が飛んでいった。そして一片の羽根を落としていった。それは青空を吸った羽根だった。ロミオはその羽根をアンジェレッタのところに持ち帰った。アンジェレッタは羽根からミラノの青い空が想像できた。


 「アンジェレッタ、僕が見てくるよ。君の代わりに、大きくて青い空を。」
 広い空を知らないアンジェレッタにロミオが言った言葉。笑顔が心の支えである男の子に、そんなことを言われたのだから、アンジェレッタは相当な幸福感を得たのだろう。


 「風にのって、青空を自由に飛んで、太陽の光をいっぱいに浴びた羽根なんだ。」
 ロミオが鳥の落とした羽根を表現したもの。この表現がアンジェレッタの大きな空に対する想像力を強めたのだろう。


 ロミオに羽根が降りてくるところ。その羽根自体、綺麗に描かれており、空を吸った表現がこっちにも伝わってきます。飛べない天使に一片の羽根というのも洒落ている。


 天使の住む家から4話で天使の声と名前が明らかになりました。名劇で病弱のレギュラーというと「トラップ一家」の小さいマリア以来でしょうか。病弱のおさげというと「若草物語」のベスに近いかもしれません。一番わかりやすい例えはクララなんですけど、ちょっと違うような

 それにしても外に出れないアンジェレッタはある意味ロミオより不自由です。本といっても写真ではないので、窓の景色以外のものの実物を見たことないのですから。そんなときに、ロミオが明るく踊っているところをみたら、そりゃ絵に描きたくなりますね。

 Bパートはいよいよストリートアクションですね。ストリートアクションがロミオの青い空で一番のお気に入りなので。狼団の登場でストリートアクションが増えそうですね。

 あと、アンジェレッタとニキータが同じ性別とは思えない(苦笑)