第3話  さよなら・ぼくの村

 ジェシカが再起を決意した直後、ロベルトは病で倒れた。ロベルトの病気を治すためには、少なくとも20フラン必要だった。絶望に追い込まれる家族。
 ロミオは村人の手伝いをしようとするが、村人にも余裕がない。教会に行って、父の寄贈したステンドグラスを見て問うロミオ。そして、そこに現れた死神。ロミオを25フランで買うというのだ。ロミオは迷った。しかし、ジェシカも仕事が見つけられないことを目の当たりにして決意した。死神に言われた通り、飲み屋「スカラ」に現れた。売られたらミラノに行って煙突掃除夫になることを聞かされたロミオは誓約書にサインした。そしてその夜、ロミオの家に医者が現われ、ロベルトの治療をした。
 旅立ちの日、アニタはミラノに行った子どもは2度と戻ってこれないということを耳にした。アニタはそのことをロミオに伝えると、ロミオに再び迷いが生じた。しかし、ロミオは涙ながらアニタに言った。「今の話、父さんや母さんに言わないで」
 家に帰ったロミオはドア越しに両親の会話を耳にする。2人ともロミオが春には戻ってくると信じてることを。ジェシカがロベルトの部屋を出て行った後、ロミオはロベルトの部屋に入る。その時、目が見えないロベルトは、ロミオをジェシカだと思い、ロミオに対する想いを口にしてしまう。感涙したロミオはロベルトに抱きついた。お互い信頼しあう父と子。こうして別れの朝は過ぎていった。
 そしてロミオは死神の馬車に揺られて、ソノーニョ村を去った。 


「今の話、父さんや母さんに言わないで」
 
アニタから信じたくもないことを聞かされた時に、ロミオが涙ながらに言った言葉。自分を襲う不安。しかし、その不安で両親まで巻き込んではいけないというロミオの優しさが垣間見える。

「あの子は自分の力で人生を切り開いて欲しいんだ。あの子ならきっとやれる。」「それが俺の、ロミオに何一つしてやれなかった俺の心からの願いだ。」
 ロベルトがジェシカと間違えて、ロミオに語った言葉。偶然とはいえ、家を出て行く日に父親からこのようなことを言われたら...

「僕は父さんのように強くなる。僕は負けないよ。」

 
ロベルトが語った後に、ロミオがロベルトに抱きついて言った言葉。

 やはり旅立つ朝のロミオとロベルトのやりとりでしょう。血はつながってなくても、この父子絆は結構強いです。ロベルトが包帯ごしに涙を流すというのもいいです。
 ソノーニョ村編、最後の回。この後の波乱のせいか、ソノーニョ村編はうすれがちだが、ビデオで見返すと本当にいい描写してる。特にロミオとロベルトのやりとりは。何かここまで父親像を描きあげるアニメも珍しいなと。
 今回、ロミオは本当につらい立場にあった。二度と帰って来れないと幼馴染に言われた後に、家では両親が戻ってくること信じてるし。
 それにしても、アニタはロミオのバカと去った後、それっきりで見送りもしなかったのですね。