1.はじめに
私は去年の3月、鉄道全線走破を成し遂げた。それ以来、旅のきっかけはダイヤ改正や気に入った新車のデビューのみとなった。そして、今年の春に九州の特急ソニックに885系が投入されるというニュースが入った。私は春に乗りに行こうと思ったが、それからまもなく今年の秋に筑豊本線が電化されるというニュースが入ったので、九州旅行は秋まで順延した。そしてこの秋、去年春の885系デビュー以来の九州旅行をすることになった。
ただ九州まで行って、筑豊本線と885系ソニックに乗るだけでは、博多―赤間―折尾―直方―博多の1周だけで終わってしまう。そこで旅行の主目的を、JR九州のイベント「トレインピック21」への参加とした。「トレインピック21」とは、来年の3月までにJR九州の21種類の列車に乗って、車掌からパスポートに検札をもらうというイベントである。
21種類の列車は以下の通りである。
これらの列車に全部乗ると、参加賞として列車のピンバッジがもらえる。それ以上に自己満足がえられる。こうしてホームページのネタもつくれる。しかし、九州のイベントだから、東京から参加するにはなるべく1回で済ませたい。仕事の穴も開けたくないので、最高で4日以内でクリアしなければならない。そのため旅行のスケジュールを組むにはかなり悪戦苦闘した。
2.準備
トレインピック21のパスポートをもらうには、チラシについている申込書が必要なわけだが、チラシは九州以外ではなかなか手に入らない。私の場合は鉄道友の会の部会で手に入れたのだが、JR九州のHPにメールすれば可能だと思われる。申込書を送って数日後、赤いパスポートが送られてきた。パスポートは白黒の冊子で、列車毎に乗車証明印を押すところがある。最後のページには割引きっぷが掲載されているが、トレインピックが始まった今年の春現在のものなので、2枚きっぷ、4枚きっぷではなくて、往復割引きっぷや土休日割引きっぷになっている。
先述した通り、限られた条件でスケジュールを組むことになったので、スケジュールを組むのには骨を折った。特に1日1往復の列車には苦しめられた。(●ドリームつばめ ●ドリームにちりん ●ゆふいんの森 ●にちりんシーガイア ●SLあそBOY)ドリームの類は夜行列車なので車中泊すれば問題ないが、あとの3列車はかなり悩んだ。特にあそBOYは平日の運転がない。またトレインピック21にない「かいおう」にも乗りたかった。しかし、これはドリームで博多に朝着けばいいので何なくクリアできた。とりあえず、1日目の金曜日はあそBOYを除く西九州、2日目の土曜日は東九州、3日目の日曜日はあそBOYで固定して以下のようなスケジュールができた。
一日目:10月18日(木)
東京1637(ひかり)2241博多
二日目:10月19日(金)
博多006(ドリームつばめ)554西鹿児島625(つばめ)833八代846(くまがわ)900坂本920(くまがわ)932八代937(つばめ)1048久留米1103(ゆふいんの森)1210豊後森1243(新ゆふいんの森)1410鳥栖1445(ハウステンボス)1551早岐1554(みどり)1605佐世保1637(シーボルト)1803長崎1830(885かもめ)1944佐賀2045(885かもめ)2119博多2140(きらめき)2225戸畑2234(883ソニック)2317博多 (11列車クリア)
三日目:10月20日(土)
博多006(ドリームつばめ)554西鹿児島616(きりしま)827宮崎930(ひゅうが)1034延岡1132(にちりん)1440行橋1502(885ソニック)1555別府1613(ゆふ)1624大分1735(にちりんシーガイア)1743別府1946(にちりん)2308南宮崎2330(ドリームにちりん) (7列車クリア)
四日目:10月21日(日)
(ドリームにちりん)553折尾627(福北ゆたか線普通)647直方713(かいおう)800博多815(つばめ)929熊本1014(SLあそBOY)1036武蔵塚1106(あそ)1123熊本1140(有明)1303博多1322(のぞみ)1828東京 (3列車クリア)
このように無駄が少ない65時間の行程ができた。無駄がない分、アクシデントでダイヤが乱れると一たまりも無く、また九州に行く羽目になりそうなスケジュールである。
スケジュールが決まったら次にきっぷの手配である。13日、日比谷公園に行く道中、有楽町駅で「ゆふいんの森」「新ゆふいんの森」「SLあそBOY」「のぞみ」の指定券と周遊きっぷを購入した。トレインピック21にはパスポート提示で購入できるポップきっぷ(\12,000)があるが有効期間が2日なので、5日間使える周遊きっぷ(\15,000)を購入することにした。
3.九州への道のり
ひかり105号 | 105A | 東京 |
|
博多 |
725-3303 | 16:37 | 22:41 |
九州に行くには時間に余裕があったので、のぞみではなくひかりとした。東京と博多を結ぶひかりは年々削減され、現在の定期列車では3往復になっている。3往復とも名古屋―新神戸間各駅停車のAひかりで、Hひかりは定期で博多まで走らず広島折り返しである。Hひかりを博多まで延長すると広島でのぞみに追い抜かれるが、東海道区間ですでにのぞみに追い抜かれてるAひかりは、延長しても博多まで先行するので乗車チャンスの確保に役立っているのである。
10月18日、心配された台風21号は予報より南のルートを通り、東京駅に到着するころには雨が止んでいた。26分発と30分発のHひかり(新大阪までのぞみに先行)があるにも関わらず、37分発のAひかりには既に列が出来ていた。多分、山陽に向かう客ではなく、米原経由で福井に向かう客がほとんどだろう。16時30分、大井車両基地から入線してきたのはLEDサボの700系、つまりJR西日本所属の700系B編成である。1日の改正に投入されたということで、まだ走り出して間もない新車である。ひかり105号は70%ほどの乗車率で、定刻どおりの16時37分に東京駅を発車した。
ひかり105号は、先述した通りAひかりなので、東海区間の停車駅は新横浜と名古屋より先の各駅である。新横浜で自由席はほぼ満席になった。なお、先行のHひかり2本は両方とも新横浜を通過する。ひかり105号が新丹那トンネルを抜け270キロを出し始めた頃には、空が赤みがかってきた。そして静岡県を抜ける頃には既に真っ暗だった。空腹に耐え切れずに、東京駅で購入した牛肉弁当を食べようとしたとき、目の前の車内情報案内LEDには狂牛病のニュースが..。しかし、気にせず食べた。
名古屋は夕ラッシュの最中で、帰宅客が大勢乗り込み、通路まで立ち客が入ってきた。しかし、岐阜羽島で10%、米原で30%ほど降りて立ち客はいなくなった。米原は先述したとおり福井、金沢方面の特急が接続するので降車客が多いのである。京都では降車客より乗車客が多く、再びほぼ満席になる。東海道山陽の直通客は75%ほどで、再び立ち客が出た。
東京と博多を結ぶAひかりだが、山陽区間での停車駅はのぞみ停車駅+姫路、小郡とRailStar並みである。しかしこの105号は、今年4月の改正で徳山に、10月の改正では福山に停車するようになった。そのため博多まで6時間以上掛かるようになった。700系限定運用なら285キロ運転して停車駅増によるロスを挽回してほしいところだが。
新神戸、姫路とも、新大阪と同じくらいの降車があり、空席ができる。東京から姫路に行くのに、この列車の1本前はのぞみとこだまの乗り継ぎで、しかもこの列車より時間がかかっている。そのため姫路でかなり降りたのではないかと思う。岡山では降車客より乗車客が多く、再びほぼ満席に。福山過ぎても満席だったが、広島で80%が降車し、車内は一気にガランとなる。工場の灯りが印象的な工業都市、徳山、山口の玄関口、小郡とも数人の乗降だった。広島→徳山、小郡への帰宅客輸送は先行のこだまに譲ってしまったようである。小倉では小郡の倍ぐらい降り、博多到着前の乗車率は20%ほどだった。
博多では、早速100系4両編成の歓迎を受けた。LEDの博多南サボは新鮮だった。この時間帯は下りは既にこだまのみだが、フリークエンシーは東京口並みかもしれない。私は、在来線乗換え改札ではなく、新幹線出札口からJR九州のコンコースに向かった。