〜ビアンカの日記〜
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ある春の日、ビアンカは屋根の上にのぼって、ロミオのことを思い返していた。昨日ミラノを去ったロミオのことを。 ビアンカは、ロミオと一番最初に会ったときのことを思い出していた。自分のことを助けようとしたロミオを突き飛ばし、お礼を言わずにひどいことを言ってしまったことを。ビアンカはそのことを思い出すだけで恥ずかしくなった。けれど、アルフレドに会えたから、つっぱってもいいとも思っていた。 次にビアンカは晩餐会の前日のことを思い返した。 ビアンカは晩餐会用の服を縫ってアルフレドに見せていた。ビアンカは、自分の縫ったイニシャルでアルフレドが乗馬大会で優勝したことを、アルフレドと話していた。すると、そこにロミオが大公屋敷の地図を持って現われた。当然、アルフレドの興味はそちらの方に。ロミオに嫉妬したビアンカは、アルフレドにロミオの良さを聞いた。アルフレドは笑って答えた。ロミオにはかなわないと。アルフレドより素晴らしい男の子はいないというビアンカにアルフレドは言った。ロミオのことが好きになるだろうと。ビアンカは怒ってその場を去った。ビアンカは小さい時にアルフレドの花嫁になりたかったことを思い出した。当然、今はアルフレドの花嫁になれないことはわかっていたが、ビアンカの理想はアルフレドだった。ビアンカはロミオのことを嫌いになろうと、ロミオの欠点をさがそうとした。 ビアンカがロミオを尾行してると、ミカエルがロミオに泣きついてきた。ミカエルは稼ぎを地下水道に落としてしまったのである。ロミオは地下水道に向かい、ビアンカはその後を追った。ロミオは果敢にも深い地下水道に飛び込み、ミカエルの財布を取り出してきた。ビアンカはその様子を見て唖然としていると、ロミオ達に存在が気付かれた。ミカエルに、ロミオの勇敢さに唖然としてるんだと言われると、ビアンカは意地を張って、自分が飛び込もうとしたらロミオが先に飛び込んだと反論した。そしてロミオの勇気を否定して走り去った。 ビアンカは素直になれないことを後悔していた。アルフレドは考えごとをしているビアンカに声をかけた。ビアンカは何で悩んでるかを隠そうとしたが、アルフレドにはお見通しだった。ビアンカはロミオに嫌われてるのではないかと悩んでいたが、アルフレドはロミオは嫌いにならないよと言った。ビアンカはアルフレドに泣いて抱きつき、ずっと一緒にいることを約束した。そして、2人はお互い微笑みながら別れた。しかし、それがお互いに微笑みあう最後の時だった。 アルフレドは神の元へ旅立った。そして、ロミオがアルフレドの意志を引き継いで黒い兄弟のリーダーになった。ビアンカにもロミオの勇敢さがわかった。けれどビアンカには心残りが一つあった。それは最初に助けてもらったときのお礼を、いつまでも言えないことだった。ビアンカはロミオに言う決意をした。「あの時はありがとう」と。 ビアンカは机を修理しているロミオに声をかけた。ビアンカが肝心なことを言おうとした時、ピッコロが犬と追いかけっこを始めてしまった。ロミオはそれどころではなくなってしまい、ビアンカは言う機会を失ってしまった。けれども、諦めずに次の作戦を組むことにした。 ロミオがビアンカをさがしていると、ミカエルがビアンカからの手紙を持ってきた。手紙には「大事な事を言いたいので来てください。お菓子も作りました。」と書いてあった。しかし、ダンテやミカエルは自分達も誘ったパーティの招待状だと勘違いしてしまった。ダンテはニキータを誘って4人でビアンカのところに向かった。 ビアンカは4人で来たので驚いた。クッキーで盛り上がる男の子達。バカ騒ぎの中、ロミオがビアンカに言いたいことをたずねると、ダンテやミカエルまで首をつっこんできた。すると、ビアンカはヒステリーを起こして、ロミオと一生口を利かないからと言って去った。ロミオにはビアンカが怒った理由はわからなかったが、ずっと何かを言いたそうなのはわかっていた。 川べりで泣きべそをかくビアンカ。今度こそロミオに嫌われたと後悔していた。そこにニキータが現われた。ビアンカは泣くのをやめて意地を張った。ビアンカに自分と似ているところがあるというニキータ。生前、アルフレドも言ってた。2人とも気が強くて、すぐにむきになる。でも寂しがりやで2人にてこずると。 ニキータは今まで負けを知らなかったが、アルフレドの前に立つとドキドキしてしまい、思っていることと逆のことを言ってしまう。でもニキータにとってはアルフレドがそばにいるだけで嬉しい。ニキータにはもしアルフレドにもう一度逢ったとしたら、言いたいことがあった。「お前に好きになってもらえるような人間になるよ。」 それはロミオに対してのビアンカと同じだった。励ましてくれたニキータの前で素直になるビアンカ。「ロミオが好き」だと言うことを決意したビアンカはロミオのところへと向かった。 ロミオが屋根の上で考えてると、ビアンカが微笑みながら掛けてきた。ビアンカは屋根の上のロミオに大きな声で叫んだ。今日のことを謝り、初めて会った時のことをお礼した。ロミオはビアンカが当たり前のことを今更言うのでキョトンとした。すると屋根の上から雪ごと転落してビアンカにぶつかってしまった。ぶつかってお互い笑う2人。ビアンカはロミオにお願いした。これからいっぱい喧嘩することを。なぜなら仲直りすると、もっと仲良くなれるから。ロミオはビアンカ台風を受ける覚悟をした。2人はミラノの夕空を見ながら、心の底から笑いあった。 |
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本作で唯一のロミオ以外のキャラメインのオリジナル編です。ビアンカ役の岡村明美さんいわく「ビアンカの少女らしい気持が日記として描かれてる」作品です。 何故ビアンカがメインとなったのかは、ビアンカが登場した後、バレーでストーリーの圧縮率が高くなり、ビアンカのことが描写しきれなかったと思うんですけどね。個人的にはオリジナル編でとりあげられてうれしいんですけど。ともあれ、女の子メインの話(しかも日記調)なので本編より少し名劇っぽくなってます。 アルフレドの生前のエピソードは、未収録分を含めた総集編という印象が強いです。花嫁のエピソードとかイニシャルのエピソードとか、ビアンカのブラコンっぷりが結構描かれてます。また、これらエピソードから、アルフレドは乗馬もこなすといった一面もわかったりします。 アルフレドが天に召した時の立ち直りは描かれてませんね。本編の第30話でロミオより先に立ち直ってましたけどね。あの時はアルフレドを見て、意志を受け継ぐのはロミオって確信してましたからね。ただ、理想であるアルフレドの意志を受け継いだとはいえ、アルフレド以外男の子であるロミオに純粋に心を開くのは難しかったりします。そういうところはアンジェレッタの方が強かったりして。 パーティーのエピソードは「ナンジョー」みたいで何かいいです。でもナンよりビアンカの方が怒ると怖いですけどね。(怖可愛いというのが個人的属性なんですけど。)「ほっぺにチョコレートつけて!」は「キライになってやるから」と並ぶ名言ですね。男子チームのデリカシーのない子供っぷりも面白かったりします。(アルフレドがいないから子供っぷりに磨きがかかってる。) そしてこの後が重要。ロミオ初の女性キャラ2ショットシーンです。こういうシーンは、やはり島田さんのような女流脚本家でないと。ニキータもビアンカも普段は異性に囲まれてるだけに、同性だと違った一面を見せるのではないかと思ったりしてます。現にお互い素直になってるし(笑)。2人とも周りの男連中より、女の子同士で遊びたい年頃なんでしょうね。自分は野郎だから、そこら辺詳しくないんですけど...。けれどビアンカがずっとミラノにいることを考えると、ロミオよりニキータといる機会が多いんですね。2人は少し似ているところがあるし、理想のタイプは同じだし(笑)。ニキータとビアンカという、本編ではあまりない組み合わせを実現した島田さんには感謝します。 追伸:誰かこの2ショット描いてくれ(爆)。しかも3年後設定で本編と違うファッションで。 |