〜モントバーニ家の亡霊〜
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ロミオとアルフレドは今日の分の仕事を終えて、帰ろうとしていた。そのとき、モントバーニ家の馬車が目の前で止まり、中からイザベラの執事、チェルビオが現われた。そしてチェルビオは黒い兄弟に秘密の仕事を依頼した。秘密の仕事にはモントバーニ家に代々伝わる不思議な話が関係していた。 それは200年も昔の話である。モントバーニ家にルチアーナという娘がいた。孤独な彼女は、いつもモントバーニ家の西の塔で独りピアノを弾いていた。ある新月の夜、彼女がいつものようにピアノを弾いていると、猫のピアが部屋に入ってきてバルコニーに乗ってしまった。ピアを助けようとした彼女は誤ってバルコニーから転落してしまい、命を落としてしまった。 娘を失ったモントバーニ伯爵は彼女のピアノを西の塔から運び出し、彼女の事を思い出さないようにした。ところが、新月の夜になるたびに西の塔からピアノの音が聞こえてくるのである。それも200年たった今でも聞こえてくるのである。 秘密の仕事とは、黒い兄弟に西の塔の泊ってもらって、幽霊騒動の真相をつきとめて欲しいことだった。お調子者のダンテはこの仕事をすぐに引き受けた。ロミオは少し臆病風に吹かれたが、黒い兄弟の勇気を見込んだチェルビオに誓って引き受けた。アルフレドは何か裏があると思い引き受けた。一番弱虫のミカエルも仕方がないのでついていくことにした。 モントバーニ家に来た4人にチェルビオは言った。このことについてはイザベラに黙っておくようにと。イザベラは幽霊を信じてないし、言うと臆病者だと叱られるだけである。チェルビオは4人を西の塔の案内すると、逃げるように去った。 リーダー、アルフレドがランプを持ち、塔の階段をアルフレド、ミカエル、ダンテ、ロミオの順番で昇った。ダンテはロミオやミカエルをからかったりした。アルフレドは部屋を見つけ、彼らはその部屋に入った。部屋の中は暗く14〜15世紀の家具が置かれていた。すると、時計の鐘が鳴ると同時に窓が割れた。雷に驚いたミカエルはランプを割ってしまい、完全に真っ暗になってしまった。 雷の光で暗闇から白い顔が浮かび上がった。パニックに陥るダンテ、ロミオ、ミカエルの3人。しかし白い顔の正体は少女の肖像画だった。ロミオはその少女をルチアーナと思ったが、その一方どこかで見覚えのある顔とも思った。 4人が絵に見とれていると猫がこっちに来た。ミカエルは飼い猫ピアの呪いだと思った。さらに誰かが昇ってきたので4人は隠れることにした。足音は4人が隠れた部屋を抜けどこかに消えた。そして消えた先からピアノの音が聞こえてきた。ロミオはルチアーナの幽霊が弾いてると思った。しかし、アルフレドは「この曲はショパンのノクターンでルチアーナの死後に作られた」といって、誰かが隠し部屋で弾いてることを確信した。ダンテとミカエルは幽霊だと信じていたが、ロミオは隠し部屋を探すことにした。ロミオとアルフレドが秘密の入り口を見つけ中に入ると、そこにはピアノを弾いてるイザベラの姿があった。 イザベラはすべてを話した。ルチアーナの話は、西の塔の秘密の部屋に誰も近づけないための作り話だった。絵の少女はルチアーナではなく、少女時代のイザベラである。イザベラはその絵の頃の話をした。 イザベラには2人の妹がいたが、彼女達は腹違いの妹だった。イザベラの父、モントバーニ伯爵は妹達に優しく接していたが、イザベラには厳しく接していた。父の方からイザベラに話し掛けずに、まるでイザベラを避けるように。 ある日、イザベラは自分の実母、エレーナの部屋が西の塔にあることを知った。10月の新月の夜、イザベラが西の塔のその部屋に入ると、そこにはショパンのノクターンを弾きながらエレーナのことを思い出してる伯爵の姿があった。伯爵は日ごとにエレーナに似てくるイザベラの顔を見ていると、つらくなるというのである。イザベラはのぞいてるところを伯爵にみつかってしまった。あわてたイザベラはバルコニーの方に逃げると、伯爵はイザベラを止めようとかけよった。するとイザベラの代わりに伯爵が転落した。 伯爵の命には別状がなかった。イザベラに今までのことを素直に謝り、初めての笑顔を見せた。二度と寂しい思いをさせないと誓う父に、イザベラは抱きついた。その日からイザベラと伯爵は心で通じ合うようになった。しかしイザベラの命と引き換えに、伯爵は指の自由を失った。そこでイザベラは、伯爵の代わりに新月の夜にピアノ演奏することにした。実母エレーナが好きだったショパンのノクターンを。伯爵が亡くなって30年経つ今でも、イザベラはこの部屋で父とともに秘密の時間を過ごした。パリからわざわざ戻ってきて。 アルフレドとロミオはイザベラのことを前よりも好きになった。そして新月の夜が来るたびに二人は思い出す。ショパンのノクターンを。 |
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カセットドラマによるオリジナル第1弾です。当然ながら映像はないので想像力だけでといいたいのですが、イザベラの少女時代というオリジナルキャラが...。妖精のようなと表現してるんですけど、やはりアンジェレッタ似なんでしょうね。 一話構成のオリジナルとなると黒い兄弟が少年探偵団みたいになりますね。テオじいさんのときとか。そりゃ、ミラノで一番勇気がある少年達ですから。煙突掃除以外にもいくつかの事件を解決したかもしれません。 アルフレドは相変わらず落ち着いて頭いいですね。彼の場合は幽霊を信じるか信じないか以前ですからね。クラシックの知識には驚きました。アニメでは描写がなかったのですが、島田さんによるとアルフレドはバイオリンを弾くという設定だし、妹のビアンカはピアノを弾くという設定だし。 今回一番目立ってたのがダンテじゃないでしょうか。こういう話だとダンテみたいなキャラは動かしやすいですからね。仲間を騙したり、ミカエル以上に驚いたり。最初は幽霊を信じてないけど、ひっかかると信じてしまうタイプじゃないでしょうか。ロミオの勇気もちゃんと描かれてましたね。隠し部屋に行くところで。幽霊を信じて行動したから勇気があるんですけどね。むしろ真っ暗な中を行動したのが勇気かも。 イザベラはロミオ同様、腹違いという設定なんですね。性別は正反対ですけど。その辺にも触れて欲しかったのですが、時間が...。 どうでもいいですけど、階段を昇る順番が登校班みたいですね。班長−アルフレド(小6) ダンテ(小5) ミカエル(小4) 副班長−ロミオ(小5)という感じで。 |